うっかり頬の内側を噛んでしまったわけでもないのに、気づくと口の中にできている白い小さなできもの、口内炎。食事のたびにしみたり、会話中に舌が触れるだけでズキッと痛んだり、その存在感は小さいながらも私たちの日常生活の質を著しく低下させます。多くの人が経験するこの厄介な口内炎ですが、なぜ噛んだり傷つけたりした覚えがないのに突然現れるのでしょうか。その原因は、実は一つではなく、私たちの体調や生活習慣と深く関わっています。最も一般的な原因として挙げられるのが、心身の疲労やストレスによる免疫力の低下です。仕事のプレッシャーや睡眠不足が続くと、体は防御機能を正常に保つことが難しくなります。口の中は常に多くの細菌が存在する場所であり、普段は免疫システムがこれらの細菌の活動を抑えていますが、免疫力が低下すると、わずかな刺激や常在菌のバランスの乱れがきっかけで粘膜に炎症が起きてしまうのです。また、食生活の乱れも大きな要因です。特に、皮膚や粘膜の健康を保つために不可欠なビタミンB群が不足すると、口内炎ができやすくなることが知られています。外食やインスタント食品に偏った食事では、これらのビタミンが不足しがちです。さらに、口の中が乾燥している状態、いわゆるドライマウスも口内炎のリスクを高めます。唾液には口の中を洗い流し、細菌の増殖を抑える自浄作用がありますが、ストレスや薬の副作用などで唾液の分泌が減ると、この作用が弱まり、粘膜が荒れやすくなるのです。このように、噛んでいないのにできる口内炎は、私たちの体が発している「少し休んで」「栄養が足りていないよ」というサインなのかもしれません。痛みの原因を口の中だけに求めるのではなく、自身の生活全体を振り返るきっかけとして捉えることが、根本的な解決への第一歩となります。
噛んでないのに口内炎ができる意外な理由