最初は、舌の脇にできた、小さな、白い口内炎でした。「また、できちゃったか。疲れてるのかな」。いつものことだと、私は、大して気に留めていませんでした。しかし、その口内炎は、いつもの奴とは、少し、様子が違いました。二日、三日と経つうちに、痛みはどんどん強くなり、食事のたびに、激痛が走るようになりました。そして、四日目の朝、異変は、口の中だけにとどまらなくなりました。左の顎の下、ちょうど、リンパ節があるあたりが、ズキズキと痛み、触ると、ピンポン玉のように、硬く腫れているのです。熱っぽく、体もだるい。口を開けるのも、唾を飲み込むのも、辛い。さすがに、「これは、ただの口内炎じゃないかもしれない」と、恐怖がこみ上げてきました。スマートフォンで、「口内炎 リンパ 痛い」と検索すると、画面には、ウイルス感染症や、最悪の場合、がんの可能性まで、不安を煽る言葉が並びます。居ても立ってもいられなくなった私は、その日の午後、仕事を早退し、近所の歯科医院に、駆け込みました。診察台の上で、これまでの経緯と、日に日に強くなる痛みを、私は、必死に先生に伝えました。先生は、私の話を、静かに聞きながら、口の中と、腫れたリンパを、丁寧に診察してくれました。そして、こう言いました。「これは、相当、炎症が強いですね。おそらく、口内炎の傷口から、細菌が入って、感染がリンパ節まで広がってしまったのでしょう」。診断は、「急性リンパ節炎」でした。幸い、口内炎自体に、悪性を疑う所見はなく、まずは、この強い炎症と感染を、抑えることが最優先、とのことでした。その場で、すぐに、抗生物質と、強力な消炎鎮痛剤、そして、口内炎に直接塗る、医療用のステロイド軟膏が、処方されました。家に帰り、早速、薬を飲むと、その日の夜には、あれほどひどかった痛みが、少し和らいでいるのを、感じることができました。そして、三日もすると、リンパの腫れは、目に見えて引き、口内炎の痛みも、嘘のように軽くなりました。一週間後には、すっかり、元の状態に戻ることができました。あの時、我慢せずに、勇気を出して病院に行って、本当に良かった。自己判断で、市販薬だけで乗り切ろうとしていたら、もっと、ひどいことになっていたかもしれません。「たかが口内炎」という油断が、いかに危険であるか。
口内炎とリンパの激痛!私が病院に駆け込んだ日の体験談