なかなか治らない口内炎や、しこりを伴う、いつもと様子の違う口内炎。そんな時、かかりつけの歯科医院から、「大学病院の口腔外科を紹介しますね」と、言われることがあります。「ただの口内炎で、なぜ、そんな大掛かりな場所に?」と、不安に思うかもしれません。しかし、この「口腔外科」こそが、診断が難しい口内炎の、まさに「最後の砦」とも言える、頼れる専門家なのです。口腔外科は、一般的な歯科(一般歯科)と、何が違うのでしょうか。一般歯科が、虫歯や歯周病など、主に「歯」そのものの病気を扱うのに対し、口腔外科は、歯を含む、口の中(口腔)、顎(がく)、そして、顔面におよぶ、より広い範囲の、外科的な疾患を、専門的に扱います。口内炎の診断において、口腔外科が、その真価を発揮する理由は、その卓越した「鑑別診断能力」と、「精密検査の設備」にあります。口腔外科医は、トレーニングの過程で、口の中に発生する、あらゆる種類の病変(良性腫瘍、悪性腫瘍、アレルギー性疾患、自己免疫疾患など)について、深い知識と、豊富な経験を積んでいます。そのため、一見すると、普通の口内炎に見える病変の中から、稀に潜んでいる、危険な病気のサインを、見つけ出すことに、長けているのです。特に、最も警戒すべき「口腔がん」の初期症状は、痛みのない口内炎と、非常によく似ています。口腔外科では、少しでも悪性が疑われる場合、「生検(せいけん)」という、確定診断のための、精密検査を行うことができます。生検とは、局所麻酔をして、病変の一部を、数ミリ程度、メスで切り取り、それを顕微鏡で詳しく調べる「病理組織検査」のことです。この検査によって、その細胞が、良性なのか、悪性なのかを、100%確実に、診断することができるのです。この生検は、一般の歯科医院では、なかなか行えません。もし、あなたの口内炎が、①2週間以上たっても、全く治らない、②硬いしこりを伴っている、③痛みがほとんどない、④赤と白が混ざったような、まだらな色をしている、といった特徴を持つ場合は、自己判断せず、かかりつけ医に相談の上、口腔外科で、一度、しっかりと診てもらうことを、強くお勧めします。
「口腔外科」という選択肢。普通の歯医者と何が違う?