口内炎の治療と一言で言っても、受診する診療科によって、そのアプローチ方法や、処方される薬には、違いがあります。歯科、皮膚科、耳鼻咽喉科、内科。それぞれの専門家が、どのような武器を使って、あなたの口内炎と戦ってくれるのか。その違いを知ることで、自分の症状に、最も合った治療を選ぶ手助けになるでしょう。まず、「歯科・口腔外科」。ここは、口の中の局所的な治療の、スペシャリストです。最も一般的な治療法は、「ステロイド軟膏」の処方です。市販薬よりも、抗炎症作用の強い、医療用の軟膏を、患部に直接塗布することで、痛みを速やかに和らげ、治癒を促進します。また、近年、導入する医院が増えているのが、「レーザー治療」です。患部に、レーザーを照射することで、痛みを瞬時に軽減させ、傷の表面を、タンパク質でコーティングして、保護膜を作ります。これにより、しみる痛みがなくなり、治りも早まる、という即効性が期待できます。さらに、尖った歯などが原因の場合は、その物理的な刺激を、削って除去するという、根本治療も可能です。次に、「皮膚科」。ここは、ウイルス性や、アレルギー性の口内炎に対する、治療の専門家です。特に、唇にできる「口唇ヘルペス」が疑われる場合は、その診断と治療は、皮膚科の独壇場です。「抗ウイルス薬」の内服薬や、外用薬が処方されます。これは、ヘルペスウイルスそのものの増殖を抑える、特効薬です。また、化粧品などによる、かぶれが原因の「接触口唇炎」の場合は、アレルギーの原因を特定し、それを避ける指導と、ステロイド軟膏による治療が行われます。そして、「耳鼻咽喉科」。ここは、喉全体の炎症を、鎮めることに長けています。口内炎が、喉の奥にまで広がっている場合や、「扁桃炎」を伴っている場合は、抗生物質や、抗ウイルス薬の内服処方に加え、「ネブライザー」という、霧状の薬を吸入する治療で、喉の隅々まで、薬剤を行き渡らせることができます。最後に、「内科」。ここは、体の内側からのアプローチを得意とします。血液検査などで、ビタミン不足や、貧血といった、栄養状態の問題が見つかれば、「ビタミン剤」や「鉄剤」を処方して、体質そのものを改善します。また、ベーチェット病などの、全身疾患が原因であれば、その病気に対する、根本的な治療を、専門的に行います。