「生理前になると、決まって口内炎ができる」「妊娠してから口内炎に悩まされるようになった」。このように、女性の中には特定の時期に口内炎ができやすくなるという経験を持つ方が少なくありません。男性に比べて、女性の体は一生を通じてホルモンバランスがダイナミックに変動します。このホルモンの波が、実は口内炎の発生に深く関わっているのです。女性の体は、月経周期に伴い、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という二つの女性ホルモンの分泌量が大きく変動します。特に、排卵後から月経前にかけては、プロゲステロンの分泌量が増加します。このプロゲステロンには、体の免疫反応を変化させたり、唾液の分泌量を減少させたりする作用があると考えられています。唾液が減ると口の中が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなるため、粘膜が炎症を起こしやすい状態になります。また、月経前症候群(PMS)の症状として現れるイライラや気分の落ち込み、睡眠の質の低下といった精神的な不調も、免疫力を低下させる一因となり、口内炎の引き金となります。同様に、妊娠中もホルモンバランスが大きく変化し、プロゲステロンの分泌が高いレベルで維持されます。これに加えて、つわりによる食生活の乱れや栄養不足、精神的なストレス、睡眠不足などが重なることで、妊娠前よりも口内炎ができやすいと感じる妊婦さんは多いのです。さらに、更年期に入ると、今度はエストロゲンの分泌が急激に減少します。エストロゲンには、皮膚や粘膜の潤いを保つ働きがあるため、これが減少すると口の中が乾燥しやすくなり、粘膜が薄く、傷つきやすくなることで、口内炎のリスクが高まります。このように、女性特有のライフステージとホルモンバランスの変化は、口内炎の発生と切っても切れない関係にあります。もし、特定の時期に口内炎を繰り返す場合は、ホルモンの影響を念頭に置き、その時期は特に意識して休息をとり、栄養バランスに気を配ることが大切です。
女性に口内炎ができやすい時期とその理由