口内炎ができた時、その痛みが、口の中だけでなく、喉の奥にまで及んでいたり、飲み込む時に強い痛みを感じたり、さらには熱まで出てきたりした場合。それは、もはや、単なる口内炎ではなく、より広い範囲での炎症が起きているサインかもしれません。そんな時、頼りになるのが「耳鼻咽喉科」です。耳鼻咽喉科は、その名の通り、耳・鼻・喉(咽頭・喉頭)の専門家です。口は、喉へと続く、空気と食べ物の入り口であり、両者は密接に関連しています。口内炎だと思っていた症状が、実は、喉の病気の一部であった、というケースは少なくありません。耳鼻咽喉科の受診をおすすめする、具体的な症状は、以下の通りです。①痛みの中心が、喉の奥にある:口の中の特定の場所というより、喉全体が痛い、ヒリヒリする。②嚥下痛(えんげつう)が強い:唾や、食べ物を飲み込む時に、激しい痛みが走る。③高熱や、倦怠感を伴う:38度以上の熱や、体のだるさなど、全身症状が現れている。これらの症状がある場合、考えられる病気として、まず「ウイルス性の咽頭炎」が挙げられます。特に、夏場に子供を中心に流行する「ヘルパンギーナ」は、突然の高熱と共に、喉の奥(軟口蓋)に、多数の小さな水ぶくれや口内炎ができるのが特徴です。また、細菌感染によって起こる「急性扁桃炎」でも、喉の強い痛みと高熱、そして、扁桃腺に白い膿が付着するなどの症状が見られます。これらの病気は、口の中にも炎症が及ぶため、患者さん自身は、口内炎と認識してしまうことがあるのです。耳鼻咽喉科の最大の強みは、その「診察方法」にあります。口を開けただけでは見えない、喉の奥の、さらに奥まで、「ファイバースコープ」という細いカメラを使って、直接、詳細に観察することができます。これにより、炎症がどの範囲まで広がっているのか、膿は出ていないかなどを、正確に把握し、的確な診断を下すことができるのです。治療も、抗生物質や、抗ウイルス薬の内服処方に加え、炎症を抑える薬を、直接、喉に噴霧したり、吸入したりする「ネブライザー治療」など、喉に特化した、効果的なアプローチが可能です。口内炎と共に、喉の不調が主役であると感じたら、迷わず、耳鼻咽喉科の扉を叩いてみてください。
喉の痛みや発熱を伴う口内炎は「耳鼻咽喉科」へ