口の中にできた、痛い口内炎で「わざわざ病院に行くのも…」と思いつつも、痛みが長引くと「一体、何科に行けばいいのだろう?」と、多くの人が一度は悩むのではないでしょうか。内科?皮膚科?それとも耳鼻咽喉科?様々な選択肢が頭に浮かびますが、もしあなたが迷っているなら、まず最初の選択肢として、最もおすすめしたいのが「歯科」あるいは「口腔外科」です。なぜなら、彼らは「口の中のプロフェッショナル」だからです。歯科医院が口内炎の相談先として最適である理由は、大きく分けて三つあります。第一に、歯科医師は、歯だけでなく、歯茎や舌、頬の粘膜といった、口の中全体の病気に精通している専門家である、という点です。口内炎の見た目や、できている場所、症状の経過などを詳細に診ることで、それが一般的な「アフタ性口内炎」なのか、あるいは他の病気の可能性があるのかを、的確に鑑別診断することができます。第二に、口内炎の「物理的な原因」を特定し、その場で対処できる、という大きなメリットがあります。口内炎は、尖った歯や、合わなくなった被せ物、入れ歯のバネなどが、慢性的に粘膜を刺激することで、繰り返しできてしまうケースが少なくありません。歯科であれば、原因となっている歯の角を少し丸めたり、被せ物を調整したりといった、根本的な原因除去の処置を行うことができるのです。これは、他の診療科では決してできない、歯科ならではのアプローチです。第三に、万が一の、重篤な病気を見逃さない「砦」としての役割です。ごく稀ではありますが、なかなか治らない口内炎が、実は「口腔がん」の初期症状であった、というケースも存在します。歯科医師は、常にその可能性を念頭に置き、怪しい病変を早期に発見するためのトレーニングを積んでいます。もし、悪性が疑われる場合は、より専門的な検査が可能な口腔外科へと、スムーズに繋いでくれます。歯科医院では、痛みを和らげ、治りを早くするための、効果的な治療を受けることもできます。炎症を強力に抑える医療用のステロイド軟膏の処方や、近年では、痛みを軽減し、治癒を促進させる「レーザー治療」を行う医院も増えています。口内炎で悩んだら、まずは、最も身近な口の専門家である、かかりつけの歯科医院に相談すること。それが、的確な診断と、安心への、最も確実な第一歩なのです。