子どもの健やかな成長にとって、歯の健康は欠かせない要素です。いずれ訪れる子どもの歯医者デビューを、泣いたり怖がったりすることなく、ポジティブな経験にしてあげたいと願うのは、すべての親の共通の思いでしょう。成功の鍵は、事前の準備と親の心構えにあります。まず最も大切なのは、歯医者を怖い場所だと子どもに印象付けないことです。「虫歯になったら歯医者さんで注射してもらうよ」といった脅し文句は絶対に避けましょう。そうではなく、「お口の中をピカピカにしてもらいに行こうね」「歯が元気になるか見てもらう場所だよ」というように、前向きで楽しいイメージを伝えてあげることが重要です。歯医者をテーマにした絵本を一緒に読むのも、心の準備を促す良い方法です。歯科医院選びも成功を左右する大きなポイントになります。できれば、子どもの扱いに慣れている小児歯科専門の医院か、小児歯科を標榜している医院を選ぶのがおすすめです。こうした医院は、待合室におもちゃや絵本が置いてあったり、診察台にアニメの映像が流れるモニターが設置されていたりと、子どもがリラックスできるような工夫が凝らされています。先生やスタッフも子どもへの接し方に長けており、優しく声をかけながら上手に誘導してくれます。初めての診察は、本格的な治療ではなく、まずは雰囲気に慣れることを目標にしましょう。歯磨きの練習をしたり、診察台に座る練習をしたりするだけで終わることもあります。無理強いは禁物です。もし子どもが泣いてしまっても、焦ったり叱ったりしないでください。親が不安な表情を見せると、その気持ちは子どもに伝わってしまいます。「大丈夫だよ」と優しく声をかけ、親自身が落ち着いた態度でいることが、子どもに安心感を与えます。虫歯がなくても、定期的な検診やフッ素塗布のために通う習慣をつければ、歯医者は痛いことをされる場所ではなく、自分の歯を守るための楽しい場所だと認識してくれるようになるでしょう。