医療
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歯科医院でできる下がった歯茎へのアプローチ
セルフケアで歯茎の下がりを食い止める努力をしつつ、見た目の問題や知覚過敏の症状を改善したい場合、歯科医院ではどのような治療法があるのでしょうか。下がった歯茎を元に戻すことは困難ですが、症状を緩和したり、見た目を回復させたりするためのいくつかのアプローチが存在します。まず、軽度の歯肉退縮で、知覚過敏が主な悩みである場合、「知覚過敏の処置」が行われます。歯の根元が露出してしみる部分に、専用の薬剤を塗布して歯の表面をコーティングし、外部からの刺激を遮断する方法です。これにより、冷たいものや風が当たった時のツーンとした痛みを和らげることができます。次に、歯の根元に隙間ができて見た目が気になる場合や、根元が虫歯になってしまった場合には、「コンポジットレジン修復」という方法があります。これは、露出した歯の根の部分に、歯の色に近いプラスチック製の樹脂(レジン)を詰めて形を整える治療です。歯と歯茎の境目の段差を滑らかにし、見た目を改善すると同時に、知覚過敏の症状を軽減する効果も期待できます。そして、歯茎の下がりが著しく、審美的な改善を強く望む場合や、歯周病の進行を抑制するために、より高度な治療として「歯周形成外科(歯肉移植術)」という選択肢があります。これは、上顎の口蓋などから健康な歯茎の一部を採取し、歯茎が下がってしまった部分に移植する外科手術です。いわば「歯茎の植皮」であり、これにより露出した歯の根を覆い、見た目を回復させることができます。ただし、この手術は保険適用外となることが多く、全てのケースで適用できるわけではありません。どの治療法が最適かは、歯茎が下がった原因や範囲、患者さんの希望によって異なります。まずは歯科医師とよく相談し、自分に合った治療法を見つけることが大切です。