歯茎にできたできものに、ズキっとした鋭い痛みが伴う場合、それは「アフタ性口内炎」である可能性が高いでしょう。口内炎は頬の内側や舌によくできるイメージがありますが、歯茎にも発生します。アフタ性口内炎は、見た目に特徴があります。中央が白っぽく、あるいは少し黄色がかった円形または楕円形のくぼみがあり、その周りが赤く縁取られています。大きさは数ミリ程度のものがほとんどですが、時に1センチを超える大きなものができることもあります。この口内炎の厄介なところは、その強い痛みです。歯ブラシが当たった時や、食事で食べ物が触れた時、さらには話すだけで激痛が走ることもあり、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。なぜこのような痛い口内炎ができてしまうのでしょうか。実は、その明確な原因はまだ完全には解明されていません。しかし、ストレスや疲労による免疫力の低下、睡眠不足、ビタミンB群などの栄養不足が引き金になることが多いと考えられています。また、歯磨きの際に歯ブラシで傷つけてしまったり、硬い食べ物で歯茎をこすってしまったりといった物理的な刺激が原因で発生することもあります。通常、アフタ性口内炎は1週間から10日ほどで自然に治癒し、跡も残りません。痛みが辛い場合は、市販の口内炎治療薬(軟膏やパッチタイプ)を使用することで、症状を和らげることができます。しかし、もし2週間以上経っても治らない、できものがどんどん大きくなる、複数箇所に同時に多発する、発熱や全身の倦怠感を伴うといった場合は、単なる口内炎ではなく、他の病気が隠れている可能性も考えられます。ベーチェット病などの全身疾患の一症状として口内炎が現れることもあるため、長引く場合は自己判断せず、歯科医院や口腔外科を受診することが大切です。