私の社会人生活は、常に口内炎との戦いでした。特に大きな仕事を任されたり、締め切りが迫ったりすると、決まって口の中の、それもいつも同じような場所に小さな白い敵が現れるのです。噛んだ覚えは全くありません。それはまるで、私のストレスレベルを可視化するバロメーターのようでした。最初は市販の貼り薬でなんとか凌いでいました。痛みをカバーしてくれるので食事は楽になりますが、根本的な解決にはならず、薬が手放せない日々。食事の楽しみは半減し、大事なプレゼンの前には、痛みのせいで滑舌が悪くならないかと余計な心配までしなくてはなりませんでした。このままではいけない。そう思い立った私は、まず自分の生活を徹底的に記録することから始めました。食事の内容、睡眠時間、仕事のストレス度合い、そして口内炎ができた日。数ヶ月続けると、面白いほど明確なパターンが見えてきました。やはり、睡眠時間が5時間を切った日が2日続いた後や、外食で揚げ物やラーメンが続いた後に、口内炎はきっちりと顔を出すのです。原因が自分の中にあると分かってからは、対策も立てやすくなりました。まずは「睡眠の聖域化」です。どんなに忙しくても、最低6時間は寝ると固く決意しました。次に食生活の改革。会社のデスクには、ナッツやドライフルーツを常備し、お菓子への欲求をコントロール。夜はできるだけ自炊し、豚肉と野菜の炒め物や、納豆、味噌汁といった、ビタミンB群を意識したメニューを心がけました。すぐに効果が出たわけではありません。しかし、三ヶ月ほど経った頃、ふと気づいたのです。「そういえば、最近口内炎ができていない」。あの、常に感じていた口の中のピリピリとした違和感がない。食事を心から美味しいと感じられる。その時の解放感は、今でも忘れられません。口内炎は、私に生活を見直すきっかけをくれた、ある意味ではありがたい存在だったのかもしれません。もし同じように悩んでいる方がいたら、諦めずに自分の体と生活に耳を傾けてみてほしいと思います。