昨日までは何ともなかったのに、突然ズキンと奥歯に痛みが走る。そんな経験は、多くの人が一度は体験したことがあるのではないでしょうか。この「急に歯が痛い」という症状は、口の中で何らかのトラブルが起きている緊急のサインです。その最も一般的で疑われるべき原因が、虫歯の進行です。虫歯は、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。歯の表面のエナメル質が溶かされているだけでは、痛みを感じることはないのです。しかし、虫歯菌がその内側にある象牙質まで達すると、状況は一変します。象牙質には、歯の神経(歯髄)につながる無数の細い管(象牙細管)が通っています。虫歯によって象牙質が露出し、この管を通じて冷たいものや甘いものなどの刺激が神経に直接伝わるようになると、「しみる」といった症状が現れます。そして、さらに虫歯が進行し、神経に非常に近いところまで迫った時、あるいはついに神経にまで到達してしまった時、何もしなくてもズキズキと痛む、いわゆる「自発痛」が突然現れるのです。これは、歯の神経が細菌に感染し、内部で炎症を起こしている状態(歯髄炎)です。この段階になると、痛みは非常に強烈で、夜も眠れないほどになることもあります。また、以前に治療した詰め物や被せ物の下で、気づかないうちに虫歯が再発し、ある日突然、内部で神経に達して激痛を引き起こすというケースも少なくありません。見た目では何ともないように見えても、内部では深刻な事態が進行しているのです。急な歯の痛みは、体が発している「これ以上は危険だ」という最終警告のようなものです。市販の痛み止めで一時的に痛みを抑えることはできても、原因である虫歯が自然に治ることは決してありません。放置すれば、神経が壊死し、さらに根の先に膿が溜まるなど、より複雑で大規模な治療が必要になります。急な痛みを感じたら、迷わず、一刻も早く歯科医院を受診することが、あなたの大切な歯を守るための唯一の道です。
急に襲ってくる歯の痛みは虫歯の進行が原因かも