たかが口内炎、と侮ってはいけません。市販薬を塗っても、生活習慣を改善しても、一向に治らない、あるいは、一度治っても、すぐに別の場所にできてしまう。そんな、しつこい口内炎は、単なる口の中のトラブルではなく、あなたの体の内部に潜む、何らかの「全身の病気」が、原因となっている、SOSサインかもしれません。このような場合、口の中だけを治療しても、根本的な解決には至りません。原因となっている、全身疾患そのものを、専門の医療機関で治療する必要があるのです。口内炎を、症状の一つとして伴う、代表的な全身疾患には、以下のようなものがあります。①ベーチェット病:原因不明の、自己免疫疾患の一つです。主な症状として、アフタ性の口内炎を、何度も、何度も繰り返すのが、最大の特徴です。口内炎だけでなく、目のぶどう膜炎(視力低下や、失明の危険性)、外陰部の潰瘍、そして、皮膚に、にきびのような発疹が出たりします。これらの症状に心当たりがある場合は、「リウマチ科」や、「眼科」、「皮膚科」など、複数の科が連携して治療にあたる、総合病院の受診が必要です。②炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎):腸に、慢性的な炎症が起こる病気です。腹痛や、下痢、血便といった、消化器症状が主ですが、その初期症状や、活動期に、口内炎が、頻繁にできることが知られています。この場合は、「消化器内科」が、専門となります。③血液の病気(鉄欠乏性貧血、白血病など):鉄分が不足する「鉄欠乏性貧血」では、舌の粘膜が萎縮して、ヒリヒリと痛む「舌炎」や、口角炎が、起こりやすくなります。めまいや、倦怠感、動悸といった、貧血症状を伴います。また、血液のがんである「白血病」では、免疫力が極端に低下するため、治りにくい、重症の口内炎や、歯茎の腫れが、見られることがあります。この場合は、「内科」や「血液内科」での、精密検査が必要です。④HIV感染症(エイズ):HIVウイルスへの感染により、免疫力が低下すると、健康な人では、あまり見られない、難治性の口内炎や、口腔カンジダ症、ヘルペスなどが、頻繁に起こるようになります。