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唇や口周りのトラブルは「皮膚科」が専門
口内炎が、口の中の、頬の粘膜や舌ではなく、「唇」や、その「すぐ周りの皮膚」に集中してできている場合。あるいは、カサつきや、皮むけだけでなく、小さな「水ぶくれ」を伴っている場合。そんな時は、他のどの診療科よりも、「皮膚科」が、最も頼りになる専門家です。なぜなら、唇は、口の中の「粘膜」と、顔の「皮膚」との、ちょうど境界線に位置する、非常に特殊で、デリケートなエリアであり、皮膚科医は、この領域のトラブルに、最も精通しているからです。皮膚科の受診を、特におすすめしたい症状の筆頭が、「口唇ヘルペス」です。これは、単純ヘルペスウイルスへの感染が原因で起こる病気で、唇や、その周りに、ピリピリとした違和感の後、小さな水ぶくれが、いくつも集まってできるのが特徴です。これは、他人にうつる可能性のある、感染症であり、治療には、「抗ウイルス薬」の内服や、外用が、絶対的に必要です。一般的な口内炎薬に含まれるステロイド成分を塗ってしまうと、症状を悪化させる危険性があるため、自己判断は禁物です。水ぶくれを伴う唇のトラブルは、迷わず、皮膚科を受診しましょう。次に、唇全体が、赤く腫れたり、乾燥して、ひび割れたりする「口唇炎」や、唇の端が切れる「口角炎」も、皮膚科の専門領域です。これらの原因として、意外と多いのが、特定の物質に対するアレルギー反応である「接触皮膚炎(かぶれ)」です。口紅や、リップクリームに含まれる色素や香料、あるいは、歯磨き粉の成分、マンゴーなどの果物、さらには、歯科金属などが、原因となっている可能性があります。皮膚科では、原因が疑われる物質を、皮膚に貼り付けて反応を見る「パッチテスト」という、専門的なアレルギー検査を行うことができます。原因を特定することで、それを避ける、という、根本的な対策が可能になります。また、「アトピー性皮膚炎」の持病がある方は、その一症状として、口唇炎を、繰り返し起こしやすい傾向があります。アトピー性皮膚炎のコントロールを含めた、総合的な治療と、スキンケア指導を受ける上で、皮膚科医の存在は、不可欠です。症状が、唇、および、その周辺の皮膚に、集中しているのであれば、まずは、皮膚の専門家である、皮膚科の扉を叩いてみるのが、最も賢明な選択と言えるでしょう。